エリマキシギ
チドリ目 シギ科
英名:Ruff
学名:Philomachus pugnax
全 長 :♂30cm前後 ♀25cm
♀
が一回り(約20%)小さい
見られる時期:3〜5月 8月〜11月 越冬する個体もいてこの20年間で5回は越冬している。
生息場所 :水田・湿地など 図鑑には干潟と書いてあるが淡水域を好み海岸で見たことはない。
藤前干潟などでも見られるので汽水域には入るようだ。
類 似 種 :コモンシギなど似ているが大きさが違うので識別は容易
特 徴 :繁殖地では♂の首の周りにエリマキ状の繁殖羽が出来てディスプレイダンスを踊るのが有名だ
が、春に日本を通過する成鳥は僅かにエリマキが生えかけているものもいるものの長距離の飛
行には邪魔になるので完成したエリマキは東海地方ではなかなか見られない。
8月に入るとまず成鳥から繁殖地から戻ってくるが、エリマキは落としてきて僅かに痕跡を残す程度
9月にはいると幼鳥が通過し始め、年によってはかなりの数が見られる。
雌雄は大きさで判別出来る。 ♀に比べて♂は一回り大きい。 雌雄が並ぶと大きさの違いがわか
りやすいが、並ばなくてもタカブシギとの比較で推定できる場合がある。 タカブシギと同程度であれば♀。
あきらかに大きければ♂と判断できる。
エリマキシギの♂はエリマキが白いタイプと、茶色または黒いタイプに別れ、それに僅かではあるが
♀タイプが混じる。 黒いタイプは縄張りをもって闘争心が強い。
白いタイプは縄張りを持たす黒いタイプに隷属すると言われている。
ユーラシア大陸の北極圏で繁殖し、アフリカ大陸南部から東南アジアに渡って越冬する。日本を通過する数
は多くない。
春の渡り
3月から見られるが越冬個体の場合も有るので4月以降に出会ったものを掲載した。
@2,010年3月31日
3月31日に撮影した嘴と脚が赤く喉が白い夏羽に換羽中の個体。 ♀は夏羽になっても背中が赤くならな
い個体が多いけど、この個体は喉が白く嘴の付け根が赤いのでエリマキが白いタイプの♂と思われる。
この年は前年から1羽が越冬しており、2月27日の撮影では嘴の付け根がほんのりと赤らんでいたけど
脚は黄緑色だったので別個体だろう。
4月16日撮影の同一個体。 頭が若干濃くなり、嘴の赤い部分が少し広がっている。 この個体は4月18
にも撮影している。 エリマキが白っぽいタイプの♂。 胸が白いのも♂の特徴。
Aところが、4月21日には脚は赤いけど嘴の黒い個体と入れ替わっていてびっくり!
この個体は5月4日まで写真が残っているけどその後暫く蓮田に行かなかったのでいつまで滞在したかは
不明。 図鑑での♀成鳥夏羽は背中が黒っぽい写真が多いけど実際には赤味のあるものもいる。
換羽期の♂との違いは♀は嘴が赤くならないのでこの個体は♀。
嘴の付け根が白くなっているのも♀の特徴。
B
2,020年4月6日
4月早々に到着した個体。 夏羽に換羽中で胸や脇に黒斑がある。赤い羽が背中に無いので♀と思うが確実
な識別は出来ていない。 テレビの番組で放送された繁殖期の映像を見るとこの個体のように胸に黒斑が有る
のは♀だけだったのでこの個体は♀。 ♂と同じように♀にもバリエーションが多彩。
C2,008年4月7日
この時期に背中に赤味がすくないので♀と思われるが、胸が白っぽいので数少ない♀タイプの♂の
可能性があるかもしれないと思うと確認はできないけど面白い。
D2,021年4月12日 鍋田干拓地
♂♀2羽で現れたのでこの時期の雌雄の比較が出来る。♂は首にエリマキになる模様が出来ている
がその他は体の大きさの差しかなく、1羽できた場合には識別が難しい。
この日は♂2羽と♀1羽の3羽いた。左側は♂で右側は♀。
E上の2羽のうち♂の方。この写真ではわからないが、背中の方に赤い羽が見え始めている。
第1回の夏羽に換羽中かもしれない。
F2羽のうち♀の方。 見た目はあまり違わない。
G2,007年5月4日
後ろに見えているウズラシギと変わらない大きさなので成鳥♀。 脚は黄色。
秋の渡り編
@2,003年8月に羽島市の桑原に現われた♂は首の後にエリマキの痕跡を残した美しい♂で大きな
話題になった。 桑原地区は一時期シギチの渡りの中継地であったが今は乾田化している。
2,003年8月6日 羽島市 成鳥♂
この写真の方が痕跡がよくわかる。 黒く見えているのがそうでほんの僅かなものだが、これほど美しい夏羽は滅多
に見られない。
2,003年8月6日 羽島市
成鳥♂
A2,009年8月7日
秋早くというよりまだ真夏のうちに越冬地に渡るために羽島市に現れた夏羽の♀成鳥。
とても美しく 上の成鳥♂との違いがよくわかる。
B2,012年9月13日
秋によく見られる幼鳥で大きいほうが♂で小さい方は♀。 ♂が首を伸ばしているが大きさの差は大きく、♀は
ほぼタカブシギと同一。
C2,014年10月9日
嘴が黒いので冬羽に換羽中の成鳥♀。 20日頃まで滞在したけど露出度は低く、他に良い写真は撮れてい
ない。
D2,019年10月21日 成鳥♀ 冬羽。
E 11月25日撮影の第1回冬羽に換羽中の♂幼鳥。 嘴の付け根が赤味を帯び、脚が黄色から赤味が強く
なってきいる。 稀に顔が白く嘴と脚が赤い♂が通過してゆくが、この幼鳥は当地で換羽している。 珍しい個体。
越冬編
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蓮田ではこの20年間に少なくとも7回以上の越冬記録がある。 掲載写真が多くなるので別ページへ。
記:2,023年11月10日
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