コシャクシギ
チドリ目 シギ科 英名:Little Curlew
学名:Numenius Minutus
絶滅危惧 TB類(EN)
近い将来において絶滅の危険性が高い種
全 長 :約29〜32cm 雌雄同色でやや♀が大きいとも
見られる時期:数少ない旅鳥として春の渡りの時期4月〜5月 秋の渡りの時期8〜10月
生息場所 :草原・農耕地で昆虫や蛙などを食べる。 また水田や湿地でミミズなどを捉えて食べる。
類 似 種 :チュウシャクシギ
特 徴 :チュウシャクシギに似るが嘴が短く、曲がりが小さい。
繁殖羽と非繁殖羽はよく似ていて大きな違いは見られないとの記述も見るが、図鑑にはかなり
赤い個体の写真も有るのでそれなりに赤くはなるようだ。
幼鳥や若鳥は成鳥よりも上面の赤味が強い傾向にある。
高緯度のシベリア東部の狭い範囲で繁殖し、冬はオーストラリアで越冬する。 日本には渡りの時期に数羽で
渡ってきて通過。 春の観察例が多く、西の方で通過のニュースが伝わったら要注意。
2,011年5月12日から14日にかけて1羽のコシャクシギが通過していった。 数日前に高知市など西の方
に数羽が現れたというニュースが伝わったのでそのうちの1羽がこちらにやってきたと思われる。
頭頂の模様などチュウシャクシギとよく似ているが嘴は細く短いので識別は容易。 草むらで蛙などを捕らえて
食べていた。 第1回夏羽に換羽中の若鳥と思われる。
2,011年5月13日 愛西市
比較的警戒心が薄く、 車からだと容易に近付くことができた。 コシャクシギは繁殖期と非繁殖期の羽衣の変化は
小さく、この時期であれば繁殖羽(夏羽)への換羽を終えているかもしれない。
2,011年5月14日 愛西市
今回は草むらで行動していたが、湿った田んぼにも入って餌を探していた。
2,011年5月14日 愛西市
1
2,022年の4月中旬に日本列島を多くのコシャクシギが通過していったという。 名古屋周辺には100羽とも、
それ以上とも言われた数が現れ、弥富市の鍋田干拓地にも多くが降り立った。
数が多いのはたくさんの個体を一度に見られる絶好のチャンスなので、個体差によって年齢や性別の判定が
出来ないか4月19日から20・21・23・25日と5日間通って多くの写真を撮った。
5日間で何個体見たのかはわからないが、私が同時に見た数は最大で11羽だった。
農耕地や芝生など比較的乾燥した場所を好むようだが、鍋田にはそのような場所は無いので田植え前の水が少し
入ってところどころ田土が見えている環境に降りて主としてミミズを探して食べていた。
滞在期間は1週間を少し超えたが、ちょうど田植え時期で田植えのための代掻きによってミミズ環境が無くなると
飛び去ってしまった。 田植え前という微妙な時期が長期滞在に幸いした。
コシャクシギは成鳥と幼鳥の識別は3列風切り羽で識別できるとされており、この個体は羽縁の白いラインが一直
線に続いているので成鳥。 ラインの見え方は光線によっても若干違って見える。 過眼線は眼の後ろで曖昧。
写真@
この個体も同じく成鳥で上の個体より全体的に褐色みが強いので(光線にもよるけど)換羽が進んでいる。
写真A
写真@と似た成鳥であるが、首から胸にかけての縦斑が多いので別個体と思う。 脇の褐色みが濃く、横斑もはっきり
している。
写真B
3列風切り羽のエッジの白斑が三角形になって赤味が強いので昨年生まれの若鳥。 過眼線が目の後ろから
下に入り込んではっきりしているのも若鳥の特徴。 全体的に赤味が強く繁殖羽への換羽が進んでいる。
肩羽の模様は不規則でぐちゃぐちゃ。
写真C
こちらも3列風切り羽のエッジラインが太めなので若鳥であるが上の個体ほど広くない。 成鳥羽になるまで何年かか
るかの記述は見付けられなかったのではっきりしたことは言えないが上の個体より1年早く生まれているのではないかと
推測する。 過眼線は眼の後ろではっきりとしている。 写真D
この個体は3列の様子が写真Cとよく似ているので昨年生まれと思うけど、肩羽はDと似て整然としている。
野鳥の世界には年によって普段の個体数の少ない・あるいはほとんど見かけない種類が集団で飛来したり、複数の
種類があちこちに現れることが有る。 今回のコシャクシギもそんな例の一つである。
過去20年間のそんな鳥たちの纏めを行って近いうちに特集を組みたい。
記:2,013年4月30日
2,022年6月21日
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