ヒ シ ク イ
カモ目 カモ科
英名:Bean Goose
図鑑に戻る
全 長 :約80cm 雌雄同色 オオヒシクイより少し小さい
見られる時期:東海地方では冬鳥として稀であるが木曽川下流域で少数がしばしば越冬する
生息場所 :湖沼・沼地・河川など及び隣接する農耕地 海水域に入ることはない。
類 似 種 :オオヒシクイ マガン
特 徴 :マガンに混じることがあるが嘴の先が黄色いことから識別できる。
亜種オオヒシクイと酷似するがヒシクイはやや小さくさく嘴が短い。 嘴の大きさは食性
によるもので、オオヒシクイより北の地域で繁殖するヒシクイは地上で草を千切って食
べる。 ツンドラ型ヒシクイとも言われる。
ユーラシア大陸北部の広い地域一帯で繁殖して冬季は中部から南部一帯に渡って越冬する。
日本にやってくる個体群はカムチャツカのオオヒシクイが繁殖するタイガ地帯より北方のツンドラ地
帯で繁殖し、主に宮城県の伊豆沼付近で越冬し、一部が太平洋岸に沿って更に南下する。
手持ちの図鑑では亜種ヒシクイとオオヒシクイをヒシクイとして同一ページ内に収めているものや、
区別に触れていないものが有るが、日本鳥学会の「日本鳥類目録」では別亜種として区別されている。
湖北野鳥センターのホームページでは周辺で見られるヒシクイはオオヒシクイとして記録されている。
この傾向は最近顕著で野鳥の会の会誌「野鳥」2026年1・2月号でもはっきり区別されている。
これとはべつに山陰の出雲地方に飛来する個体群がある。 これらはカムチャツカで繁殖するヒシ
クイとは異なものが有るとして山階鳥類研究所が2010年3月に4個体に衛星追跡による発信器を
付けて追跡調査を行っている。 それによると2羽がロシア極東の北海に近いコリマ川河口付近に
到達したと「山階鳥研ニュース7月号」で発表している。 この時に協力者の「ホシザキグリーン財団」
から提供された写真を掲載しているが写真はオオヒシクイ型であり、山階は亜種名不明としている。
2025年12月に友人が斐伊川周辺で撮った写真を見せてもらったら紛れもないヒシクイ型だった。
山階の追跡調査にはこの辺りで少し疑問を持っているが、コリマ川河口付近まで行ったのは事実
なのでカムチャツカで繁殖する個体群とは別物と判断される。
愛知県の愛西市に属する木曽川下流域の長良川と流れを分ける背割り堤で野鳥観察を始めたのは
2002年頃からであるが、当時から冬になると小数羽であるがコハクチョウが越冬していた。 琵琶湖
の「西の湖」と並んでコハクチョウの自然状態で越冬する南限地であった。
以下、掲載写真は全て愛西市の木曽川と田園で撮影したものである。
2007年の2月、その背割り堤に6羽のヒシクイが降り立って北帰迄の短い期間滞在した。 以下3枚
は同一個体群。
2,007年2月12日 愛西市の木曽川堤防
一部を切り取って湖北のオオヒシクイと比べてみた。 明らかに嘴が短く頭から嘴に至るラインが嘴の付け根
で窪んでオオヒシクイとの違いは明らかだった。
1羽づつ比べてゆくと頭から嘴にかけてのラインがストレートな個体もいるが嘴は短くがっしりしていた。
ツンドラ地帯で草や地衣類を食いちぎって食べるのに
適した嘴である。
2009年
11月、2羽のマガンと共に1羽のヒシクイが飛来して越冬した。 マガンと比べると二回りほど
大きかった。 写真ではわかりにくいが嘴の短いヒシクイだった。
2,009年11月25日 愛西市の木曽川
左側のマガンは嘴の上の白い部分が無いので幼鳥。 この組み合わせで越冬した。 北帰は2月中で
東北地方や北海道に寄り道して体力を養うのだろう。 ヒシクイは成鳥。
2009年12月10日
2014年12月26日、立田の田園に1羽だけで飛来して体を休めていった。 雨覆いなどの羽縁が白くはっき
りしていることから幼鳥・・第1回冬羽と判断した。
嘴の大きさは個体差や撮る角度によっても違って見え、中にはオオヒシクイとの交雑種かと思われる個体
も見られるが、たくさんの写真を見た限りではそう多くない。 田んぼでは何を食べていたのかまでは観察
しなかった。もっとちゃんと観察するべきであった。
2017年1月25日、11羽の群がしばらく羽を休めた後通過していった。
2022年1月15日、ヒシクイ7羽とマガン1羽が通過していった。 一番後ろを飛ぶのはマガン。
2,022年12月29日。 3羽のヒシクイがしばらく羽を休めてから通過していった。 ここから更に南下
するとなると行き先は三重の中南部か三河の河口付近だろうか。嘴の形が微妙であるが、写真を拡大し
て確かめたら間違いなくヒシクイであった。
2023年の冬、1羽のコハクチョウとヒシクイが越冬した。 2023年12月23日撮影
翌2024年2月
17日に撮影したのが最後になって北帰した。、
1
2025年12月5日、背割り堤に2羽のヒシクイが飛来、その後数が増えて1月10日には11羽になり、
ここには8羽が写っている。
2026年1月24日には更に2羽増えて13羽になった。
比較的近くで撮れたので一部を切り取って拡大してみた。 ただいま越冬中で2月中旬くらいまでは居て
くれることを期待する。
参考文献: +ヒシクイの形態と生態
山階鳥研ニュース
記:2,026年1月29日
目次に戻る