チュウヒ
タカ目 タカ科
英名:Eastern Marshu Harrier
絶滅危惧TB類 (EN)
全 長 :♂48cm ♀58cmと♀が大きい。
見られる時期 :冬鳥 本州の中部以北で少数が繁殖するも、開発により繁殖地が減少している
生 息 場 所:平地の草原・農耕地・葦原など
類 似 種 :大型のタカ一般であるが、飛行する時は翼を浅いV字型にしてゆったり飛ぶので識別は容易。
木に止まっているときは脚に毛が生えていないので黄色が目立つ。
ハイイロチュウヒの♀は顔に特徴的な顔盤を持ち、翼下面全面に鷹斑があって腰の白さが
目立つ。
特 徴 : 図鑑の写真は細かい説明がなく、数枚の写真から雌雄の別を決めて掲載写真は1枚のこと
が多いので雌雄識別の参考にならない場合がある。
♂♀とも体色には個体差が大きく、雌雄の識別は難しい。
幼鳥は頭と上半身が白く虹彩の色は暗色。♀は頭頚部や上半身の白色部が大きく♂は小さい。
成鳥♂は頭・雨覆い・風切り羽上面は♀と比較して明るく、上尾筒は白い。
体下面は上半身が白っぽく暗褐色の縦縞がある。 下半身は一様に暗褐色であるが個体差が
大きい。 翼先は黒っぽく虹彩の色は黄色。
成鳥♀は上面は暗褐色であるが♂のように明るい個体もいる。 虹彩の色は黄色であるが、若
い個体の中には暗色のままのものもいる。
チュウヒには国内で繁殖する国内型と、大陸で繁殖する大陸型が有るとされるが、区別してない図鑑や区別
は意味が無いとする意見が有る。
ここでは普通にみられるタイプと、いわゆる黒っぽい大陸型は観察機会が少ないので一応区別しておきたい。
大陸型は白っぽい体に頭・雨覆い・翼先が黒っぽい♂成鳥に人気が集まるが、それ以外の色をした♂や国内
型とよく似た♀がおり、撮りためた写真を仔細に見てゆくと大陸型と思われる個体が結構多く感じられた。
今回掲載するチュウヒ写真は全て背割り堤防で撮ったもので、近くの干拓地で繁殖が確認されていた2,014
年頃までと、越冬地の狩場となっている現在(2、022年冬)を比較すると見掛ける個体数は変わっていない。
個体変化が多いと言われているので撮りためた写真をなるべく多く掲載しようと思ったけど、写真を選んで比較
してみたらパターン数はそう多くなく、煩いだけなので少なくした。
寿命は15年くらいとされているが、年齢については識別の能力を持たないので成鳥・幼鳥とした。
ステイ編
@ 頭から上半身が上下とも白っぽく範囲が広い。 虹彩が暗色なので♀幼鳥。下面下半身は褐色。
♂幼鳥は胸や肩羽の白色部がこれほど広くない。
木曽岬干拓地が未開発の頃は複数のチュウヒが営巣していたので幼鳥が堤防脇によく降りていたが今は見
られなくなった。
2,005年2月5日 背割り堤
A 上と同一個体の♀幼鳥。 下面の下半身は濃い褐色で国内型は成鳥・幼鳥とも大部分がこの タイプで
ある。
2,005年2月14日 背割り堤
B 頭が白く虹彩が暗いので幼鳥。 上と比べて頭頚部の白色部が小さいので♂と判断した。
2,008年2月22日 背割り堤
C 頭部および頭頚部から羽全体が白っぽいので幼鳥と見られる。 10月の撮影なのでこの年生まれの
幼鳥だろう。
2,018年10月25日 背割り堤
D 少し遠くに止まっていた個体。 頸部の白色部が大きく虹彩は黄色いので成鳥の♀と思われる。
2,003年12月21日 背割り堤
E ハイイロチュウヒの♀のように顔にはっきりした顔磐を持つ個体。 顔磐はレーダーのように音で獲物を
探すのに役立つと言われている。 まるでフクロウのように。
虹彩は黄色で翼上面が白っぽいので成鳥の♂と推定。 上の個体とよく似ているけど背中の模様が
違っている。
下面は上半身・下半身とも白っぽい羽衣に茶色の縦斑が入っていて下半身の褐色部は無い。
頭頸部の縦斑が長くて目立っているので大陸型の特徴を持っている。
ハイイロチュウヒの♀は独特の顔磐を持ち、翼下面にはっきりした鷹斑を持つので識別できる。
2,011年12月29日 背割り堤
F 頭から上半の白い部分が大きく、虹彩の色は暗色なので♀の幼鳥。 下面の下半身は全体的に褐色
が濃い。 @と似た個体。
2,017年12月13日 背割り堤
G 虹彩が黄色いので成鳥の♂と見られるが、同一ヵ所で見ているので撮影年が違っても同じ個体を
撮っているかもしれない。 国内型より全体的に上面が明るいので大陸型の可能性がある。
2,006年2月11日 背割り堤
H 葦原の上を獲物を探しながら低く飛ぶ♀幼鳥。 満潮時には根元が水没するような葦原が狩場になって
いる。
2,018年12月12日 背割り堤・木曽川右岸の葦原
I 葦原に降りていた♀幼鳥。 顔の前面が獲物の血で汚れているので食事中と見られる。
2,017年11月29日 背割り堤
以下は飛翔編
@ 通常見掛けるチュウヒと違って小翼羽・初列雨覆い・大雨覆い・初列次列風切り羽がはっきりした鷹斑に
なっており、初列のP5〜P10までの先端は黒い。 下面も鷹斑になっており、各種図鑑ではこのタイプを
大陸型としているものが多い。
虹彩は黄色く上尾筒は白い。 中央尾羽は青灰色で外側尾羽はカーキ色なので成鳥の♂。
2,006年10月30日 背割り堤
A 2羽絡み。 上の個体は頭が白いので幼鳥。 下の個体は翼上面の雨覆いが白っぽく、尾羽が青灰色
で薄い横斑が見えているので成鳥の♂。
2,007年11月11日 背割り堤
B 上の写真の上側と同一個体。 虹彩の色が暗色、頭の白色部が小さいので♂の幼鳥。 風切り羽の
エッジの白さが目立つ。
2,007年11月11日 背割り堤
C ソノウが膨らんでいる個体。 虹彩の色は黄色く上尾筒は白い。 次列風切り全体にタカ斑が有るので
成鳥の♂。
2,007年11月11日 背割り堤
D 足環を付けられた個体。 残念ながら拡大しても文字らしきものは見付けられなかった。 虹彩の色が黄色
いので成鳥。 翼下面のタカ斑が薄いので♀かと思うけど雌雄は不明。
2,008年1月25日 背割り堤
E 成鳥であるが、国内型に普通にみられる下腹部の褐色部が無く、下面は喉から下腹部に掛けて細い
縦縞になっている。 初列風切り羽・P7〜P10の先が黒くはっきりした横斑が有る。
虹彩の色は黄色。 翼下面のタカ斑はほとんど目立たないので成鳥の♀かな。
開いている外側尾羽が摩耗によってかなり傷んでいる。 あるいは大陸型かも・・・。
P6が伸びきっていないので換羽中か。
2,010年11月15日 背割り堤
F 全身が白っぽく体下面は褐色の縦斑で下腹部の褐色部は無い。 虹彩の色は黄色。 上尾筒は白く尾羽
は全面が青灰色で顔磐は目立つ。 大陸型・・♂♀は不明。
2,011年1月8日 背割り堤
G 下面の下半身が褐色みが強いのは光線の加減も有る。 翼の下面は初列次列とも薄い横斑が見える。
上尾筒は白く見えるので♂。 翼下面の根元に横腑は無い。
2,012年12月16日 背割り堤
H Gと同一個体で
飛翔編
Aとよく似ている。 あるいは同一個体かもしれない。 初列・次列風切り羽と小雨
覆いにタカ斑が有るので成鳥の♂であるが尾羽の灰色部分はわからないほど薄い。 上尾筒は白い。
I 虹彩が黄色いので成鳥。 上尾筒の白い色が特に目立つので♂。 下面の下半身の褐色は微妙だけ
どはっきりした褐色部は認められない。 翼下面の付け根にははっきりした褐色の横斑があり、これ
は大陸型の特徴の一つでもある。
2,017年11月10日 背割り堤
J 雨覆いは白っぽいけど風切り羽は黒っぽくタカ斑は無い。 上尾筒は肉色で尾羽に灰色部分は無いので
成鳥♀と思う。 P6・P7の先端が丸くて伸びきっていない。
2,018年12月12日 背割り堤
K 頭から上半身・全体が白く虹彩が黒っぽい♀の幼鳥。
2,018年12月17日 背割り堤
L Fとよく似た大陸型とみられる個体。 上尾筒から尾羽は青灰色で翼下面の付け根に横斑。
2,019年12月23日
M Jと同一個体の可能性が有る。 背割り堤を狩場とする個体は毎年同じ個体が来ている可能性が有る
ので数年にわたって同じ個体を撮り続けていてもおかしくない。 雨覆いの色が明るいので♂に見える
けどタカ斑は無く、このような♀も時々いる。 虹彩は暗色で上尾筒は白くない。
2,020年3月15日 背割り堤
N これも同一個体かもしれない。 狩りをして食事の後らしく、骨をくわえて飛んでいる。
2,021年1月16日 背割り堤
O 体が白く頭と風切り羽のP6〜P10までが黒い、いわゆる大陸型♂成鳥。 上尾筒は真白だった。
2,022年3月5日 背割り堤
P 上と同一日の撮影であるが頭が黒くないので別個体。
全身が白っぽくタカ斑が鮮明で初列風切り羽P6〜P10の先端が黒い。 虹彩の色は黄色で上尾筒は
白く尾羽は全体が青灰色。 大陸型成鳥♂と思うけどとにかく白かった。
2,022年3月5日 背割り堤
Q 上と同一個体。 翼下面の付け根に褐色の横腑が見えている。
R 同一個体。 見ていたら葦原に降りたけど遠かった。
記:2,023年8月20日
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