ズグロカモメ
チドリ目 カモメ科 英名:Saunders’ Gull
学名:Larus saundersi
絶滅危惧U類(VU)
全 長 :30cm
観察可能時期:11月中旬〜3月までの冬鳥 雌雄同色
生 息 場 所:海岸の干潟・河口 ユリカモメと一緒の場合は群の周辺にいることが多いので探し
やすい。 昼間は干潟で蟹やゴカイを捕食し、夜は海上で眠る。
類 似 種 :ユリカモメに似るが嘴の色が黒いので識別は容易。 ユリカモメの嘴は赤色。
特 徴 :ユリカモメと同じように夏羽は頭が黒く、冬羽になると白くなる。 瓜二つだ。
中国東北部から朝鮮半島に至る黄海沿岸のごく狭い地域で繁殖し、冬季は韓国南部から日本・中国
南部・ベトナムに渡って越冬する。 国際的に地域性が強い。
2,008年現在、毎年300羽くらいが越冬する曽根干潟を持つ北九州市の提案による日中合同調査
によって総数は8,000羽前後と推定され、日本には2,000羽くらいが渡ってきて越冬している。
有明海の大授搦干潟・新籠干潟、八代海の不知火干潟、周防灘の曽根干潟で日本に渡来する個体の
90%が越冬しているが東海地方でも冬季には少なからぬ数が見られる。
海岸の塩性湿地帯で繁殖するが開発によって環境が悪化しており、標識調査など保護に向けて日中で
活動が行われている。
標識は、1995年度から遼寧省双台河口
(赤色)
・黄河河口
(緑色)
・江蘇省塩城
(青色)
・韓国(白色)・
曽根干潟(
黄色が付けられたが褪色して白く見える)
で脚に付けられ、見かけたら北九州市の環境局まで
知らせてほしいとのことである。
三重県の川越町・高松海岸や鈴鹿川の河口で見たことがあるので伊勢湾の奥深く入り込んでいる。
庄内川河口でも多く見られ、木曽川では河口から20kmくらいまで遡り、愛西市の田んぼでも見られる
ようになった。
高松海岸では霞4号線の道路工事に伴って干潟の様子が変わってから蟹がいなくなって姿が見られて
いない(2,023年現在)。 蟹環境は有るので蟹の幼生が流れついて繁殖するのを待つか蟹を獲ってき
て移植するか・・・。
夏羽に換羽中の成鳥。 頭がかなり黒くなってきている。
2,004年3月5日 鈴鹿川派川河口
ズグロカモメはたくさん撮っていたつもりだが写真を探してみたらあまり無かった。 3月の末に撮影したこ
の個体は夏羽に換羽している。 初列風切羽がユリカモメがカモメ型なのに対してこちらが随分と特徴的
なのは、1枚目の写真からもこの写真からも見てとれる。 カモメは初列の先端が黒を基調なのに対してこち
らは白がベースとなって黒い斑が散らばる。 3月下旬になるとほぼ夏羽に換羽する。
2,005年3月29日 川越町・高松海岸
5月4日に愛西市の蓮田で数羽の幼鳥が餌を探していた。 5月でも幼鳥の頭は白いままで、第1回夏羽
でも頭は白いのがわかった。 食べているのはミミズのようだ。
2,022年5月5日 愛西市
2,008年11月10日に鈴鹿川・派川河口で成鳥と幼鳥の2羽を確認した。 3月に観察したものは
夏羽への換羽がかなり進んでいるがこちらは完全な冬羽だ。
写っているのは幼鳥の方で、雨覆いの一部と初列・次列風切羽の後縁が茶色くなっている。
。
2,008年11月10日 鈴鹿川派川河口で撮影
同一個体の幼鳥。 雨覆いに茶色の幼羽が見えている。
2,022年の12月、この時期になっても頭が黒いズグロカモメの幼鳥が現れて関心を集めた。
頭が黒いことから第1回目の夏を超えて第2回目の冬羽に変わろうと換羽している途中。
こちらは一緒にいた第1回の冬羽の幼鳥。
2,024年1月に愛西市の水田で見掛けたズグロカモメの冬羽。 木曽川河口から20kmも上流まで
遡って数羽で水田にいた。 ユリカモメはかなり内陸まで入るけどズグロカモメがここまで入り込むのは
当地では最近になってからである。 そっと近付いたのでかなり近寄らせてくれた。
2,024年1月19日撮影
上と同一個体。 やはり飛ばれてしまった。
別の成鳥。 嘴が白っぽいのは泥が付いているからで、水田の中の虫を探していた。
記:2,008年12月22日改定
2,024年 3月28日
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