野鳥の世界では年によって普段はまったく姿を見せない鳥や、ごく小数がたまにしか現れない鳥たちが複数
羽で現れることがある。
 また、珍しい鳥たちがあちこちに同じ時期に姿を見せたりすることも時々あり、それらの特異な例を私が記録
として残してあるおおよそ20年間の範囲で纏めてみた。 
 個人の記録なので名古屋周辺から関西にかけての限定された記録である。


 2,010年〜2,012年にかけての11月
  菰野町のコスモス・ヒマワリ畑にたくさんの
アトリマヒワが種を食べに集まった。 この3年間は特に
 マヒワが多く、11年から12年にかけての冬は団地内の公園でもマヒワの群が越冬したくらい多かった。
  菰野町では特に12年の11月にマヒワとアトリが多く、 群で飛び回って壮観だった。
  その後も、毎年この時期にチェックに行っているけどアトリの群もマヒワの群もまったく見られていない。
  それでも復活を期待してこれからもチェックに行くことにしている。
   

   

   

   


 
2,012年秋から翌年春にかけて
  
キクイタダキヒガラが名古屋周辺に多数現れた。 キクイタダキとヒガラはセットで動いていた。
  キクイタダキは見ている分にはとても楽しいけど、写真を撮るとなると少しもじっとしていないので本当に
 厄介な相手だった。
   


 
2,012年10月2日 
  鈴鹿市の海岸に近い農耕地に200〜300羽の
クロハラアジサシの群が現れた。 夏羽・冬羽に換羽中・
 幼鳥が混じっていた。 ハシブトアジサシが三重の海岸に数羽現れた直後だったので全てチェックしたけど
 ハシブトアジサシは混じっていなかった。

            

            

  クロハラアジサシは河川や池で小魚を捉えて餌にしているのをよく見掛けたが、ここでは豆畑の上を飛んで
 緑色の小さな芋虫を捕えて食べていた。 残念ながら滞在は短かった。
  


 2,013年11月〜12月
  この地方では渥美半島の太平洋ロングビーチの岩礁地帯でしか見たことの無いシノリガモが3羽鈴鹿川派川
 の河口地帯に現れて11月から12月にかけて滞在した。 ♀の若鳥2羽と♂の若鳥1羽で越冬を期待したけど
 12月22日を最後に行方が分からなくなった。  ヒメウも1羽滞在したけどまともな写真が撮れなかった。
  左の2羽は目と嘴の間の白色斑が褐色みを帯びていることから♀の若鳥。
  右の1羽は後頭部に僅かに白い縦斑が見えているので♂の若鳥。 撮影は11月22日
  

  次の写真は12月22日の撮影なので上の若♂の繁殖羽への換羽が進んだ思うけど、別の個体が入った
 可能性もある。  しかし、伊勢湾の奥に入り込んでくることはほとんど無いので同一個体だろう。
           

 
 
2,014年1月〜4月 
  2,013年12月と2,014年1月に東西で珍しいツグミが発見されて越冬が確認された。
  1月31日に神奈川県相模原市の相模原自然の森公園で
ウタツグミが初認され、4月11日まで滞在した。 
  三重県南牟婁郡紀宝町では13年の12月7日に
ヤドリギツグミが初認され、14年の4月8日まで滞在した。
  両種ともヨーロッパからバイカル湖周辺で繁殖し、冬は南方に渡って越冬する。 日本では稀な迷鳥として
 冬季に渡ってきて視認されているが、越冬例は多く無いようだ。
 
  ヤドリギツグミは14年1月6日に見に行った。 片道4時間と遠かったけど谷あいの冬枯れの水田地帯で
 無事に会うことが出来たが、撮った写真が芳しくなかったので3月10日に再挑戦した。
  発見当時のヤドリギツグミは国内5例目で、うち2例は舳倉島でのもの。 その後福岡や香川県での報告が
 ある。 1,984年の2月には名古屋市の小幡緑地で国内初認されているので、農耕地や公園で色の違う
 ツグミを見付けたらよく観察しよう。  警戒心は薄くじっと待っていると10mくらいまで近付いた。
           

  基本的に地上採餌であるが、時にはハゼなどの木の実も食べていた、
           

  ウタツグミは3月6日に見に行った。 こちらはヤドリギツグミより更に遠く片道5時間かかった。 公園で
 は大変な数のカメラマンが半円形の形で取り囲み、ウタツグミはその範囲内でミミズや小さな昆虫を探すな
 ど臆することなく行動しており、10m位まで近寄ってきて撮り放題だった。
  現地の人たちにヤドリギツグミの話をしてみたが、三重県はあまりにも遠いため関心を持つ人はいなかっ
 た。  ウタツグミはこの段階での国内観察例は6例目となっているが、日本鳥学会に論文が提出された段
 階では17年の大阪城公園など9例が報告されている。 
  両種はとてもよく似ており、識別ポイントは胸の斑でヤドリギツグミは不定形な斑が並んでいるのに対して
 ウタツグミは逆ハート形の斑が顕著に見えているのでここが確かめられれば識別は容易である。
  農耕地などで見付かる可能性が有るのでしっかり見て報告しよう。
           
  この項は日本鳥学会誌に掲載・公開された論文と、文一出版社の図鑑「日本の鳥550 山野の鳥」を
 参考とさせていただきました。
   
   まだままだ続きます。
  
野鳥の特異年・その2
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