シロエリオオハム            アビ目  アビ科 
                                 英名:Pacific Diver      
                                  学名:Gavia Pacifica
 
   全   長   :65cm前後
   観察可能時期:冬鳥として11月〜4月頃まで   

   生息場所   :主に外洋の沿岸に生息し、港湾に入ることもある。 オオハムに比べて数が多いとする図
             鑑もあるが、私の観察場所である敦賀半島ではオオハムがほとんど。 本種もいるが
             フィールドスコープで見ないと種類が分からないくらい遠くに群でいるのを見るだけで、
             オオハムのように撮影距離まで近づくことは無かった。

    特  徴   :雌雄同色。 冬羽は頭から背中は黒く首から腹部は白い。 喉には黒い線が入る。 
             夏羽は頭から後頭部は青灰色。  首には白黒のストライプが入る。  
             
   類 似 種   :シロエリオオハムの冬羽は首に黒いラインが入り、後ろ脇の白い斑はないので識別は
            容易。
             夏羽はシロエリオオハムの背中の白斑が整然と並んでいるのに対し、オオハムは並び
            方が雑であり、やはり後ろ脇の白い斑はないので識別は容易。
            
 
   
  シベリア東北部から北アメリカ大陸の北極圏で繁殖し、冬は日本海から太平洋周辺の沿岸に渡って越冬
  る。  東海地方の近辺では福井県の敦賀半島3〜4月下旬まで観察できる。  


   長い間敦賀半島に通ったけどシロエリオオハムを近くで観察する機会は皆無だった。 それが、2,016年
  の3月には複数個体のシロエリオオハムを間近で観察し、写真が撮れた。
   体の後ろの方の脇に白い斑が無く、喉に黒い線が入った冬羽のシロエリオオハムが目の前まで近づいて
  きた。
                           2,016年3月16日  敦賀半島
     


    雰囲気がオオハムとは一目で違って見えた。  この個体は喉の線がほとんど見えない。
                          2,016年3月16日  敦賀半島
     


    この個体は喉の線が薄い。 
                          2,016年3月16日  敦賀半島
     


   この個体は脇腹の後ろの方に白い斑が無いのでシロエリオオハムであるが、上の3羽と比べると色が薄い。
   情報が無いのでなんとも言えないが、夏羽への換羽が始まった個体かもしれない。 これから夏羽への
  換羽が始まるので何とかその状況を観察したいと願っている。
                        2,016年3月26日敦賀半島
      


    その後、夏羽を見る機会は訪れなかったが、2,018年の6月上旬に静岡市の安倍川河口に1羽の夏
   羽が入っていると聞いた。 暑い夏に片道3時間のドライブはきついのでためらっていたが、夏羽が無い
   と「画竜点睛を欠く」ので意を決して出かけて無事に出会うことが出来た。  
    シロエリオオハムは安倍川に注ぎ込む幅50mくらいの浅い支流に滞在し、頭を水中に突っ込んでは餌
   を探しながら行き来していた。  
    各種図鑑に掲載されている成鳥夏羽は頭がのっぺりした青灰色が多いが、この個体は鳥との距離が
   20〜30mくらいと近いせいもあって白っぽくてファイバーの一筋一筋がよく見えていた。
    冬羽と同じく体の後部の白い脇毛は見えず、背中の白斑はオオハムと比べて整然としている。
                         2,018年7月2日   静岡市
     


    
   前頸は紫色を帯びた黒色とあるが紫色は確認できなかった。 この写真は上のものより遠いので頭の
  ファイバーは見えにくくてのっぺりした感じ。 小魚を追って潜水し、ハゼのような小魚を捕らえていた。
   川が浅いので潜水の様子はよく見えた。                    
     



    後ろから見ると頭に青みが見えないことからこの個体は繁殖入り前の若い個体かもしれない。
     


 
   この時期は繁殖のためにユーラシア大陸の北極海沿岸地方にいるはずのシロエリオオハムがなぜ今頃
  ここにいるのか。
   他の鳥たちでも繁殖入り前の若い個体はわざわざ繁殖地まで行かないことが有るのでその可能性がある。
   また、換羽が間に合わなくて飛べなかったという意見もある。 羽ばたいた様子を見ると次列は揃ってい
  るけど初列はどうだろう。 撮ってきた写真をもう一度検証してみたい。
     




                            記:2,016年4月27日
                              2,018年7月 6日 改訂



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