クロツラヘラサギ
コウノトリ目 トキ科 英名:Black−faced Spoonbill
学名:Platalea minor
絶滅危惧TA類(CR)
絶滅危惧最上位ランク
全 長 :約75cm
特 徴
:雌雄同色
成鳥夏羽は後頭部に冠羽が出、胸元が黄色くなる。
若鳥は嘴の色が成鳥のように黒くない。
観察可能時期:冬鳥として10月〜4月だが、7月末の目撃例もある。
生 息 場 所:干潟・河口・水田・湖沼などで魚・蛙・蟹・水生昆虫などを食べる
海岸で観察されることが多いが、2,007年〜2,008年の冬に琵琶湖で越冬している。
類 似 種 :ヘラサギ 同じようなスプーン状の嘴を持つが、クロツラヘラサギは顔が黒いので識別は容易。
サギと名前が付けられて外観も似ているが、ヘラサギはトキ科でサギ科とは一線を画する。
黄海に面した中朝国境付近の狭い範囲で繁殖し、東南アジアに渡って越冬する。 日本は沖縄方面が渡りの
ルートの一部にかかるらしく、沖縄での観察が多い。
2,005年1月の環境省の世界一斉調査では約1,400羽が確認され、個体数が増加する傾向に有るそうだ。
全世界でも個体数が少ないことから本州への飛来は少ないが全国で記録があるなど観察機会は比較的多い。
2,007年〜2,008年に掛けての冬は琵琶湖の水鳥センター付近でヘラサギ2羽と一緒に越冬した。
繁殖地の異なるヘラサギとは一部越冬地が重なるが、揃っての越冬は珍しいことであった。
三重県では最近、2,004年7月・2,007年4月・2,008年4月と記録が残り、藤前干潟では2,008年5月に
同時に2羽が観察されている。
鹿児島県南さつま市の万之瀬川河口では11月から4月まで約20羽くらいが越冬する。 万之瀬川河口は
クロツラヘラサギの越冬地としてIBA(重要野鳥生息地)に選定されている。
2,008年1月15日 沖縄・豊見城の豊崎干潟で嘴に釣り糸が絡まって衰弱したクロツラヘラサギが保護され、
手厚い看護を受けて2月23日に自然に帰された。
写真は2,004年7月29日に鈴鹿川派川河口で撮影したものである。 7月の飛来は大変珍しいことで、この
個体は嘴が黒いことから成鳥である。 季節は夏なので夏羽と思いがちだが後頭部の冠羽が抜け落ち、胸元か
首に掛けての黄色い夏羽が見られないことから早々と冬羽に換羽してしまっている。
7月末から8月にかけて観察したカラシラサギが換羽途中であったのと比べて換羽が早い。 繁殖が終わって
しまえば繁殖羽でいる必要も無いわけだ。
2,004年7月29日 派川河口
ダイサギと比べるとかなり小さい。
こちらは2,007年4月11日に松阪市で撮影したクロツラヘラサギ。 胸元には黄色い夏羽がはっきり見えており、
後頭部の垂れ下がった冠羽はなかなか貫禄がある。
2,007年4月11日撮影
翼端まで真っ白なので成鳥である。
サギ類と違って首を縮めず延ばしたまま飛翔する。 ヘラサギも同じ。
2,011年5月11日、 鈴鹿川派川河口に現れたクロツラヘラサギ。 嘴の先端まで黒いので成鳥かと思ったけど・・・。
2,011年5月11日
嘴の裏側(下側)が黄色っぽく、5月にしては冠羽もないし胸の黄色味も無いので若鳥。
成鳥の飛翔写真を見ると羽は全体が白いが、この個体は初列風切り羽の・P7〜P10の先端が黒い。 飛ぶ姿はとても
美しかった。
同一個体。 この角度から見ると嘴の色がよくわかる。 初列の先端の色は羽をたたむと見えない。
河口内の干潟でカレーのような魚を捕えて食べていた。
2,014年9月20日 大阪湾沿岸の埋立地で撮影したクロツラヘラサギの若鳥。 嘴が黄色い。
その年生まれの幼鳥では無さそうだが遠かったのでそれ以上は判らない。
2,023年12月9日、背割り堤の木曽川干潟に3羽のクロツラヘラサギが現れた。 河口から上流18km付近まで
の一部汽水域になるが、河川で見るのは初めてだった。 当時、庄内川河口干潟で3羽のクロツラヘラサギが観察
されているのでその3羽が遊びに来たと思われる。
羽を広げた時翼端が黒かったので3羽とも若鳥とみられるが、遠かったので詳細はわからない。
記:2,008年8月 2日
2,024年2月26日
目次に戻る