コシアカツバメ     スズメ目  ツバメ科    英名:Red−runped Swallow
                                     学名:Hirundo daurica

  全  長    :19p
  見られる時期:夏鳥として4月中旬〜9月  ツバメより来日が遅い。
  生息場所   :人家周辺の田園地帯  
  類 似 種  :ツバメ  
  特  徴    :ツバメほど一般的ではなく、関東以西の西日本に分布が広がって内陸でも見られる。
 
           小さなコロニーを作り、背の高い大きな建物(学校など)の軒先や橋の裏に瓢箪型の巣を泥で作って
           子育てする。   卵の数は4〜5個。  抱卵日数は20日くらいとされている。

           ツバメのように高速で飛ばず、滑空を交えて飛びながら虫を捕食する。
           腰が赤いので識別は容易。 
           繁殖が終わった後もツバメのように集団でのネグラを作らず、コロニーに残って秋まで過ごす。


    中国東部から日本などで繁殖し、冬は東南アジアに渡って越冬する。 地中海方面で繁殖する個体群は冬季は
   アフリカ中部に渡って越冬する。 普通ツバメと比べると美しさと愛らしさで勝っている。
    腰が赤く尾羽の両側が長く伸びており、飛び方もゆっくりなので飛んでいる時も識別は容易。 
    
    目の前に降りたので初列・次列・三列の風切り羽の様子がとてもよくわかる。 長い尾羽は外側両サイドのもの。
          



    以下の観察は桑名市の県道の陸橋の下に作られたコロニーでの観察である。
                   
2,005年5月28日  桑名市  
          

 
   橋の裏側に巣を作っているところ。 口に泥団子をくわえ運んできた。下の方は乾いているので前日にでも作ったのだろう。
   コロニーには50個以上の巣があるが使われているのは20個前後で、一部はスズメに乗っ取られている。
                        
2,008年6月12日  桑名市   
          


    この巣は本体の大きさに比べて出入口の穴が小さい。 普段からネグラに使っているらしく巣の中から3羽以上の
   コシアカツバメが飛び出してくるのを見たことがある。
    一つの巣に3羽以上のコシアカツバメが関わっていることがある。   観察中、ひょっとしたら繁殖入り前の若い
   個体がヘルパーとして子育て支援している可能性が有るかもしれないと感じた。
    念入りに観察してみたいが骨の折れる作業でもある。  この写真は6月24日の撮影なのでヒナが出るにはまだ
   早く、3羽の中に子ツバメが混じっている可能性は無い。
                          
2,007年6月24日  桑名市  
          


    2羽のヒナが巣穴から外を覗いている。 中にもう1羽いたのを確認している。   

                       
2,007年7月13日  桑名市  
          


    このコロニーは2,009年に周辺一帯の田んぼで圃場整理の工事が始まったことで放棄され、再び復活することが無かった。
    コロニーは少数に分かれて放浪した末別の場所で復活した。

    2,020年までに桑名市の団地内公園にコロニーが復活しているのが判り、観察しやすい場所だったので2021年の春か
   ら観察を開始した。 この時点で巣の数は29個あった。 その後の巣の増加数から見てコロニーが復活してからかなり年月
   が経っているのが推測された。
    巣は強固に壁や天井に張り付いている。 下に降りて巣材の泥団子を作っているのを観察していたら泥を口の中で転がして
   唾液を混ぜていた。 この唾液が接着剤の役割をしている。   

          


          
 

    枯草を集めて巣の中に持ち込んでいた。 ツバメがいないときにこの枯草に触ってみたらとても柔らかくてフカフカしていた。
    泥の巣の中にはフカフカのベッドが有るようだ。
    この枯草のベッドは外からは見えず、もし外から見えていたらスズメに乗っ取られている。 
   
          


   6月28日に巣の中から雛が顔を出した。 雛の数は2羽確認できたが、出入り口が小さいのでそれ以上は見えなかった。
   一般的に卵の数は4〜5個とされている。
   この雛は右目が白くなっていて見えていないが、とても元気で巣から落ちそうなほど身を乗りだしていた。  
          



   巣の数は28日の時点で24個。 この日に雛が顔を出していたのは1巣だけだったが、雛が孵化している可能性のある巣は
  4個だけだった。 まだ巣作りしているものもある。 
   この雛は目に異常のない健全な雛。
   
          

 
   餌運びは普通ツバメほど頻繁では無かったので、雛が孵っているかどうかは巣の下の糞で判断した。 雛が孵化すると
  巣の下の糞にたくさんの糞が溜まるようになる。
  
          


   巣立ち雛3羽と真ん中左は親。 巣立った幼鳥は飛ぶのが達者なので一日中親と飛びまわっており、観察中このような光景
  にはなかなかお目にかかれなかったけど、たまたまこの日は巣の下に子供たちと親が集まってきた。
  
          


   親から餌を貰っている。 幼鳥たちは日中ほとんど巣に戻ってくることは無いので自分で餌を捕っていると思うけど、これ
  を見るとまだ十分に餌を捕る能力は無いようだ。 親から貰っている餌はバッタ類が多かった。  
          





                            記:2,009年6月4日
                              2,021年9月4日改訂

 
                  
 
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