キガシラシトド    スズメ目   ホオジロ科   英名:Goldenーcrowned Sparrow         
                                学名:Zonotrichia atricapilla
    全    長  :18cm
    観察可能時期:迷鳥として非繁殖期であるが、
日本での観察例は過去10例以下と稀
    生 息 場 所:葦原・林縁・草地など
    類 似 種   :ミヤマシトド  
    特    徴  :成鳥夏羽は頭が黄色くなる。


  アラスカとカナダの北西部で繁殖し、冬季はアメリカ西部に渡る。  生息域から完全に離れた日本への
 飛来は過去に数例に過ぎない。 1,935年に東京で初認されてから北海道・新潟・舳倉島で観察されて
 いるようなので、ネットで調べてみたが詳細はわからなかった。
  各種手持ちの図鑑をめくるも掲載されていたのは文一の「日本鳥・山野の鳥」だけでそれだけでも珍しい
 ことがよくわかった。  ちなみに「鳥学会第6版種名リスト」には掲載されいる。

  2,006年12月、堺市の大泉公園に61年ぶりに姿を見せた珍鳥は4月までの約5ヶ月間を過ごして夏
 羽に換羽してから4月末に旅立っていった。

  この年は津市にも珍鳥のハマヒバリが出ており、遠方から両方を見て回る探鳥バスツアーが企画され、
 また、ネット上でも公開されたので大きな話題になって大勢の人が観察できた。
 場所柄と珍鳥度の差もあってキガシラシトドの周りは行くたびに数十人が訪れていたが、ハマヒバリの方は
 見学者が少なく寂しいものであった。  勿体ないが見付けにくいという事情も有ったかもしれない。

  キガシラシトドの話を聞いて私が出かけたのは2,007年の1月25日であった。 「朝方、ネグラの葦原
 から池際の葦原に出てくるが撮影できる場所が狭いので早く行って場所を取れ」と聞いて早朝・7時前に
 到着した。 8時頃に「来た来た!」の声で葦の陰でうごめく小さな鳥を発見・撮影。  

                         2,007年1月25日  堺市大泉公園
          


       枝被りで写真にならんなーと思っていたら池際の立ち木に飛んだので追いかけて撮影した。  
          


    撮れるのは撮れたけどこれでは・・・と思っていたら飛んで背後の芝生におりた。 芝生に下りたのは
   初めてのことだそうで、これ以降は普通に下りるようになった。 
   この日はなかなか寄らせてくれなかったが、ギャラリーが増えて次第に人馴れしていった。
    暗いところを移動するのでSSが上がらず撮影は苦しかった。 この時期、頭の黄色はまだ色が薄い。 
 
          


  次の訪問は4月9日、ゆっくり昼前に到着したら午前中に70人もの人が取り囲んでから姿を見せなくなった
 ということで、登場は午後からの僅かだった。 前回から2ヵ月半が経って頭がかなり黄色くなっていた。
                     
2,007年4月9日 堺市・大泉公園    
          



   最後の訪問は4月20日だった。 片道2時間半はたっぷり掛かるのでおいそれと行ける距離ではない。
   1月に初めて見た時と比べて頭が黒くなり、頭頂部の黄色が濃くなって夏羽に換羽していた。
                      2,007年4月20日  堺市・大泉公園   
  
           



        多分、2度と観察する機会が無いだろう珍鳥が換羽するまで長い間滞在してくれたのはとても貴重
       な出来事で、写真を撮れたのは幸運だった。 またの出会いを期待している。


                            記:2,008年8月3日


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