事前に有る程度の情報を仕入れていったつもりだったが結果として準備が足りなかった。 また、蕪栗沼と伊豆沼を一日で見る
のは時間的に厳しかった。  仙台は遠い。 次に行く機会が有るかどうかわからないが、ゆっくりと見て回りたい。

 伊豆沼の宣伝に餌付けされたカモや白鳥と子供たちが楽しそうに遊んでいる写真が使われていたことが有った。 その時の印象
では沼には鳥たちが溢れかえっているように思ったが、実際の伊豆沼は全体が広いせいもあって鳥たちの姿が疎らだったのは意
外だった。
 
 
 ネグラ入りは4時を過ぎてから始まった。  あちこちから西の端の狭い水域を目指してマガンの群が次々とやってくる。  先ほど
三工区で見た群も来ているのだろうが、北の方角からやってくるものが圧倒的に多い。  名古屋近辺で雁行している鳥はまずカワ
ウだが、ここでは全てマガンでネグラ入りは空が暗くなるまで切れ目無く続いた。 その数は数千羽に達するそうだ。
 
 今回はカリガネガ目的の一つだったがマガンの群は広範囲に散らばっており、何の位置情報もなくこの中から1・2羽のカリガネを
見つけ出すのはまず無理だ。  もう一つの目的のシジュウカラガンを見付けたのは幸運だったのかもしれない。
 
 内沼は早々に切り上げてBの野鳥観察所に行った。  ここは10台分くらいの駐車スペースとトイレが有るだけで建物は無か
ったが、ここも餌付けされていて少数ながらオナガガモがいた。  地図で見るように沼の西の端に当たり、夕日ポイントとして有名
だそうだ。  そしてネグラ入りするマガンが4時くらいから戻ってくるのが見られるそうだ。  4時に近い時間だったのでネグラ入り
を見ることにした。   写真左は東方向、2枚目は西方向、3枚目は夕日だが生憎と日没は雲の中だった。
 次にAの内沼に行ってみた。 サンクチュアリーセンターはわからず、岸辺の駐車スペースに車を入れたらここでも餌付けがされ
ていて多くのオナガガモに囲まれた。  車の外でオオハクチョウも餌を待っている。  翼が傷んで垂れ下がっているのが痛々しか
った。
 ここのカモたちは車を取り囲むので駐車場から出るのに一苦労したが踏まずに出ることが出来た。
夕方3時頃だったのでここでは沼は完全な逆光になって何にも見えなかった。
 カモたちと遊んでから沼沿いに車を進めた。  水面に注意しながら進めてゆくが浮いている水鳥は岸近くの僅かなオオハクチ
ョウだけでカモはまったく見られなかった。  途中湖岸の道路が通れなくなって三工区と呼ばれている沼の南側の田園地帯に降り
た。  降りたところの道路を挟んだ左側の田んぼにオオハクチョウの群、右側にマガンの群が羽を休めていた。
オオハクチョウの一部は道路の上にまで出てきていて占拠している。  オオハクチョウは人間の接近に寛容だ。
 
 右手のマガンの中にカリガネガいないか探していたら思いもかけずに5羽のシジュウカラガンを見付けた。  11月25日の記録
では1羽になっているので三々五々やってきて増えたのだろう。
 写真は撮ったが何とも遠いので少しづつ接近しようかと考えていたところ、後にバーダーの車がやってきた。 見ているともう1台
がやってきて車から人が降りた。  鳥までの距離は有ったが敏感な一部が一斉に飛び立ち、その中にシジュウカラガンも混じって
いて飛び去ってしまった。  
 公園や森の中の探鳥と違い、田園地帯など車内から観察できるところでは車から出るのは禁物である。  車の接近には寛容な
鳥たちも人間の姿を見ると警戒心を露にする。 車の中からだと写真が撮れないと車外に出て三脚を立てる人をよく見かけるが、
鳥たちはますます警戒して遠くに行ってしまう。  このため多くの人が車内から写真を撮る工夫をしている。
 
@は迫町のサンクチュアリーセンターで野鳥観察館が設けられていた。  時間が無いのでサンクチュアリーセンターはパスして隣
接した野鳥観察館に行ってみた。  名古屋市の野鳥観察館を予想していたが、建物の内部にフィールドスコープは無く、がらんとし
ていた。  ただ、風を避けるためだけの建物だが、沼に面して設けられた窓から沼を覗いてみたら野鳥はまったく見られなかった。
 
@と線路との間に小さハート型の池が見えている。 この池でカモやオオハクチョウが餌付けされており、車を駐車場に入れたらた
くさんのカモが餌を貰おうと寄ってきた。  大部分がオナガガモで池から陸に上がっているのは圧倒的に♀が多かった。

 写真左は迫町の野鳥観察館。 その手前にハート型の小さな池が作られている。  ここは羽を傷めた鳥を保護している池だそう
だ。  羽を傷めているオオハクチョウが何羽かいて、どこも傷めていないものもいる。  それらがカモたちと一緒に餌をおねだりに
きた。
中には陸に上がってきてぼーっと傍に突っ立って餌をくれるのをまっているのもいて、パンを差し出してやると手からも食べた。

 カモは大部分がオナガガモで陸に上がってきているのは圧倒的に♀が多かった。   他のカモは僅かな数のキンクロハジロ・
ホシハジロ・マガモ・オオバン
でやはりコガモは人に馴れないようだ。 
 事前に十分調べていったつもりだったが、帰って
きて改めて調べなおしてみると沼の一部しか見てい
ないことがわかった。 

 時間が足りなかった事もある。 僅か3時間半の
滞在で見られる範囲は極めて限定されており、沼
の東側にある@の観察館から赤いルートをA〜B
と辿ったところで日没になった。 

 従ってこのページは伊豆沼全体を紹介するもの
ではなく、参考までに一部を紹介するものである。

 
三箇所のサンクチュアリーセンターがある。 現
地にいる時は思い付かなかったが、ここを訪ねて
カリガネやシジュウカラガンの情報を貰っておけば
良かった。 
 
*伊豆沼   13時〜16時30分

 蕪栗沼(10時〜12時)で観察した野鳥は次の23種類

 ダイサギ  アオサギ  マガモ  カルガモ  コガモ  オナガガモ  マガン  オオヒシクイ  オオハクチョウ  トビ
 チュウヒ タゲリ  ツルシギ(1)  オオハシシギ(3)  ヒバリ  ハクセキレイ  ヒヨドリ  モズ  ツグミ  ホオジロ 
 シメ  スズメ ハシボソガラス  ハシブトガラス
  
   
  以上観察後次の目的地の伊豆沼に移動した。 
 カモの数は少なく、マガモ・カルガモ・コガモ・オナガガモくらいだった。 浅瀬に3羽のオオハシシギと1羽のツルシギがいた。 
こんなに寒いところでも越冬するのだ。  タゲリの群も降りてきた。  猛禽はトビと3羽のチュウヒを見かけた。 
 沼で一番数が多いのはオオハクチョウで次はオオヒシクイだた。  マガンはほとんどが田んぼに移動していた。
 白鳥越流堤。 歩いてゆくと左手に蕪栗沼が見えてきてオオヒシクイやオオハクチョウがたくさんいた。
 3の場所から白鳥遊水地を望む。  ここも沼のように水が溜まっていてあちこちにオオハクチョウがぽつぽつ浮かんでいた。 
 左方向・中央部・右方向と連続写真になっており、向こう側に9番の白鳥越流堤が見えている。  この向こうが蕪栗沼。

 地図では水色で表示されている部分が車の走れる道路。  

 沼の東側に広がる野谷地遊水地は田んぼになっていて車のすれ違える広い農道で仕切られていた。 何気なく農道に車を入れたら
目の前の田んぼに無数のマガンが降りていた。 驚かさないようにそうーっと接近し、スコープで沼の周辺のどこかにいるらしいというカリ
ガネを、マガンの1羽づつ見ながら探したが寝ているものもたくさんいて結局は見付からなかった。 
 東北自動車道を北上中、古川ICあたりで頭上を隊列を組んで飛んでいくマガンの群を幾つか見たが、多分この沼から飛び立ったもの
だろう。 
 誰か見ている人がいるとか、ここの場所によく降りている・・と ピンポイントで場所を教えてもらってないと、初めての場所で珍鳥を見
付けるのはまず困難だ。

 真ん中の写真は何に驚いたのか一斉に飛び立つマガンの群。  右の写真のように首輪を付けられたマガンもいた。 

 宮城県の探鳥地といえば圧倒的に伊豆
沼が有名だが、伊豆沼から約10km南にあ
る蕪栗沼とその周辺もオオハクチョウやマガ
ンの渡来地として貴重な存在だ。
 
 仙台の宿を出たのが8時半と遅めだったの
は天候のせいも有った。
 1時間ほどで現地の近くまで到着したが、
沼へのアクセス方法がわかりにくくて戸惑った。

 結局、沼へは野谷地遊水地の方から接近
することになり、この辺りの田んぼで千羽近い
マガンの群を見た。

 案内図の現在地と書かれている場所に駐車
場があってここに車を停め、6番から白鳥越流
堤5〜9へと歩いて蕪栗沼の開水面に至った。
駐車場には簡易トイレも用意されていた。

 冬の平日とあって観察する人は少なく、横浜
から来たという二人連れと会っただけだった。

 駐車場は@場所辺りにも設けられている。

   蕪栗沼と伊豆沼(宮城県)  2,007年12月5日      目次へ戻る

 冬になるとマガンや白鳥の渡来地として宮城県の伊豆沼はバーダーのみならず観光地としても有名な存在で、バーダーなら一度は訪
れてみたいと思うのではないだろうか。  今回、仙台を訪れる機会を作って蕪栗沼と併せて訪ねてみた。

*蕪栗沼  10時〜12時