ヘラシギ
チドリ目 シギ科
英名:Spoon-billed Sandpiper
絶滅危惧TA類(CR
)
全 長 :14cm ミユビシギよりかなり小さくトウネンと同じくらい
観察可能時期:4〜5月と 秋は8〜10月の渡りの時期に幼鳥が見られるが
稀
生 息 場 所:砂浜・砂質の干潟・湿地など
類 似 種 :トウネン ミユビシギ
特 徴 :トウネンに混じっていると酷似しているので嘴が見えないと見分けるのは困難。
ミユビシギ・メダイチドリに混じっている場合は大きさの差で判りやすいが、嘴が見えないとヘラシ
ギと決定する事は出来ない。
ロシア・シベリア東端のベーリング海峡に面したチョコト半島の周辺のみで繁殖し、冬は東南アジアに渡って越冬
する。 チョコト半島はトウネンの繁殖地の一部でもあり、トウネンの渡りの中に稀にヘラシギの幼鳥が混じって我が
国に飛来すると思考する。 これまでの出会いの全て(4回)が秋の幼鳥であることからの推察である。
最近の日本湿地ネットワークの調査から2,006年現在の生息数は1,000羽を割り込ん
でいるものと推定され、絶滅寸前状態としてTB類からTA類に指定変更された。
個体数激減の原因は繁殖地に起因するより越冬地や中継地の環境が悪化しているせいと
され、干潟の保存など個体数復元に向けて関係諸国の国際的な取り組みがなされようとして
いる。
以上のような個体数の減少と日本が渡りのコースから外れていることなどから稀な旅鳥として記録は少なく、今後
はさらに観察機会が減ってゆきそうだ。
日本では秋に観察されることが多く、私が見た4羽は全て幼鳥だった。 写真の個体も頭部から体の上面が赤っ
ぽく雨覆いに幼羽が見えているので幼鳥。 海岸の砂浜ではメダイチドリやトウネンに混じっており、嘴を体に突っ込ん
で寝てしまうとトウネンとの識別がまったく出来なくなった。
2,004年9月22日 津市
一緒にいるメダイチドリと比べるとかなり小さいことがわかる。 この時は数日間滞在した。
2,004年9月22日 津市
貴重で愛らしいシギを見に欧米からもわざわざ越冬地のベンガル湾に出かけるバーダーが多いそうだが、この
顔を見たらそんな気になるのもわかる。
2,004年9月22日 津市
2,006年の秋に見掛けた個体。 前回見た個体と同じ羽模様なのでこちらも幼鳥。 向こう側にいるミユビシギ
よりなり小さく、左側にいるトウネンとはほぼ同じ大きさだ。
2,006年9月25日 津市
横から見ると特徴的な嘴が普通の嘴に見えてどこにいるのか判らなくなってしまう。
2,021年9月7日に豊川市の海岸で1羽のヘラシギが発見され、多くのバーダーが観察に訪れた。 これまで
津市の海岸で2回の出会いが有ったけど、その時はトウネンやメダイチドリに混じって海岸での採餌行動は見られ
なかったが、今回は数羽のトウネンと共に活発に動き回って餌を探していた。
2,021年9月12日撮影
成鳥を見たかったけど今回も幼鳥だった。 滞在は14日までの8日間と聞いているが、秋の幼鳥の渡りは滞在
が長くなる傾向にある。 撮影日は雨天だったため本来の色が出ていない。
2,024年の秋は愛西市の水田・蓮田を通過するトウネンの数が30羽・40羽と例年より多かった。観察には
ほぼ2日に1回訪れていたが、10月2日に蓮田を見ていてちょっと気になるウズラシギが田んぼの奥にいたので
フィールドスコープを向けた。 するとウズラシギと向かい合う形で餌を探しているトウネンの嘴がヘラシギっぽく
見えたので写真を撮った。 モニターを拡大してみたらやはりヘラシギだった。
たくさんのトウネンの群に混じって飛来したのだろう。
これまで見た3羽のヘラシギは全て海岸で淡水域に入ったのは初めてだった。 あとで図鑑を確かめたら
「淡水域に入ることもある」となっていた。 近付いてくるのをワクワクしながら待った時間は長かったけど、
次第にスプーン状の嘴がはっきり見えてきた。
この時は大変な騒ぎになるとは思わなかったが、ヘラシギのニュースは瞬く間に広まって午後になると続々と車が
集まってきた。 何より人気を集めたのは大勢の観察者がいるのに目の前10m位まで近寄ってきて撮り放題に写
真を撮らせてくれたことや、終始順光の位置にいて写真が撮りやすかった事。
滞在は19日までと18日間にも及んでこの間に延べ1000人以上のバーダーが愛らしいシギとの出会いを楽しん
だ。 遠方からの観察者も多く、抜けた後にも県外からの車をよく見掛けた。
世界全体で1,000羽以下は危機的な数字である。 成鳥の夏羽を是非とも見たいと願っているが、ヘラシギ
自体が幻の鳥になりかねない。
記:2,008年8月10日
2,021年9月29日
改訂
2,025年5月10日 改定
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