ビロードキンクロ      カモ目  カモ科
                                     英名:Velvet Scoter
                                     学名:Melanitta fusca

   全   長  :55cm
  観察可能時期:冬鳥として10月〜4月
  生 息 場 所:クロガモと共に外洋に生息し、内湾では見られなくなった。 九州以北の沿岸に飛来するが、近年は
            渡来数が減ったのか稀な存在となりつつある。
   類 似 種  :アラナミキンクロ
   特   徴  :♂は全身黒く虹彩は白色。  ♀は褐色で目の前後に白い斑が入る。  嘴に瘤状の突起が出来て
            印象が深い。


   ユーラシア大陸の高緯度帯と北米大陸のカナダ・アラスカ地方で繁殖し、アリューシャンから樺太・中国沿岸部で越冬、
  日本にも冬鳥として飛来するが洋上に生息するため見かける機会は少ない。

   写真は2,008年8月に四日市市の海岸に現われたビロードキンクロの♀である。  発見者によると海岸に上がっ
  て蹲っており、近付いても逃げなかったとのこと。  私たちが見に行った時は海岸に人がいたので海上に浮いていた。

                           2,008年8月4日  四日市市
       


   本来なら繁殖地にいるはずのビロードキンクロがこの時期にいるのは繁殖入り前の若い個体か、体調不良により繁
  殖地に向かえなかったかどちらかと考えられる。
   羽ばたいた時の写真を見ると左翼の風切羽がぼろぼろになっていた。 カモ類の換羽を観察している友人(発見者)
  によれば換羽中にぼろぼろになるのはよく見かけるとのことなので繁殖羽から冬羽に換羽中かもしれない。 
   あるいはトラブルが有ったのかもしれないが、この状態では飛ぶのは難しいと思われたので存在を公表しなかった。

                              
 2,008年8月4日  四日市市
       


    暫く待っていたら上がってきたが警戒心が強くて近寄らせてくれず、近付くと海に入ろうとした。
                            
 2,008年8月4日  四日市市
       


   真夏の暑い日だったうえに鳥までの距離が有ったので陽炎が立って写真が撮りにくかった。 羽ばたき写真でもわか
  るが、次列風切羽の白いのが特徴的である。
                          
2,008年8月4日  四日市市
       


   その後、暫く居ついてくれるものと観察を継続するつもりだったがすぐに行方がわからなくなった。 あの羽の状態では
  遠くまで飛べそうもないので近くの海岸近くに浮いてないか探したが見付からなかった。
   その後、9月11日に津市の海岸で目撃されたので直ちに探しに行ったが見付けられなかった。 残念。


                                記:2,008年11月17日



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